尾行調査の不可抗力・後編

「尾行調査の不可抗力㈰」で迎えに来ていた車両に乗車したケースや路上からのタクシー乗車の状況を説明致しましたがこれら以外にも不可抗力による尾行調査の中断せざるを得ないというケースが他にもあります。

・混んだエレベーターに乗られ、尾行する探偵が乗れないケース。

大型商業施設などで起こる状況です。

対象者がエレベーターに乗ったが対象者で一杯となり、尾行している探偵が乗れないケース。

探偵が1人でも乗ったらブザーがなり、乗れないなんてケースも長年、尾行調査をしていると年に1,2回程度は遭遇するケースなのです。

所用が済み、必ず商業施設の1階に現れるというので立地環境であれば問題は少ないのですが東京の駅周辺にある大型商業施設は各階でも隣接する商業施設に移動できたり、駅と直結していたりとさまざまです。

商業施設に入り、エレベーターを利用した時にこの状況であれば最上階から捜索すれば発見することは可能な時もあります。

しかし、商業施設での用が済み、これをされると何階で降車したのか判らず、どこへ移動していったのか捜索範囲も広大になり、更に時間との勝負という過酷な状況です。

まして8階位より乗り込み、近くに階段があれば必至に駆け下りますが近くに階段がないとどうしようもありません。

そのエレベーターが5階、3階、2階、1階、地下1階と停車したとなるとどの階にて降車したのかも判らず、2階と地下1階にはそれぞれ鉄道の駅と連結、更に3階、2階、地下1階からは隣接する商業施設にも移動が可能でこうなると尾行調査をしている探偵の人数では打つ手もなくなるのです。

この混んだエレベーターの最後に乗られるというのは探偵の技術云々では語れない完全な不可抗力による中断となってしまうのです。

またこのエレベーターという狭い個室空間において対象者が1人しか乗っていないという状況も探偵にしてみると厄介なのです。

そして何度もエレベーターを利用する癖のある人。

特に女性の人が対象者の場合、このような場面に多く遭遇する。

時間つぶしか趣味なのか商業施設をはしごしウィンドショップをだらだらとされ、何度もエレベーターを乗り降りされると探偵も何度もこの狭い空間を共にしなければならない。

ましてエレベーターに乗り込む人の殆どは向きを変え、こちらが入る時には対面してしまう。

すぐにこちらも向きを変えるが何度も同じ状況が続くと察知される可能性が高くなってしまうのです。

しかも対象者が1人である状況が続くと最悪としか言いようがない。

探偵の不文律として「最悪見逃しても気付かれるな」が鉄則の尾行調査。

正直、エレベーターという個室空間は探偵にとって鬼門の場所のひとつでしょう。

・大型イベント施設に入場券を前もって用意されていたケース

尾行していった対象者が別な人と合流したとしてもしなくても、スポーツイベント、ライブなどの前売り券を所持しスタジアムなどの大型イベント施設に入ってしまった場合も同様です。

入場券が完売していると尾行していた探偵は中に入って探し出すこともできません。

プロ野球、プロサッカーの試合から大物と言われるアーチストのライブ会場など尾行していった先が大型イベント施設だとどうしようもない事も出てきます。

なにしろ試合やライブが終了すると数千人から数万人という人がいろいろな出口から出てきます。

必ず入った入口から出てきてくれればよいのですがそうとは限りません。

このような場合、状況によって出口付近で張り込んだり、最寄り駅改札で張り込んだりといろいろ手段を取りますが探偵の限られた人数の目では駅の改札ひとつとっても数千人が一気に入る改札で対象者を見つけるのも困難となり、到底全てをカバーできません。

時には最寄り駅に出るとは限らず、バスであったり、タクシーを利用したり、それこそ歩いていく人もいたりとそれぞれ立地環境、状況によっても違ってくるのです。

似たようなケースでは各新幹線、全ての車両が全席指定の特急電車や飛行機に搭乗する場合です。

既に乗車券、搭乗券を持っていたりするとこちらの切符が間に合わず、尾行を中断せざるを得ないという状況が何度かあります。

この状況も不可抗力による中断と言わざるを得ません。

この尾行調査の不可抗力というのは探偵の言い訳みたいに受け取られがちですが実際、探偵の技術で解決できる問題ではありません。

対象者についての情報がどれだけ得られているかにも異なってきますが探偵を続けていく上で誰もがぶち当たる大きな問題です。